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  • 2017_08

自転車ってすばらしい 番外編 「自転車に携わる人々」

 私は車の免許もバイクの免許も持っていない。
 私には自ら車を運転しなくても専属の運転手がいる、といいなあ、と思いつつも、残念ながら、そのような部下はいないし、持てる地位にもいない。
 専属の運転手はいないが、私には持っているものがある。
 それは、有り余る金と、天才的な操縦技術と、自動車学校を優秀な成績で卒業する自信の三つを持っていないということを持っていることである。
 以上のことを踏まえるとある一つの結論に行き着く。

 案外自転車でも大丈夫。

 今日も私は学生としての本分に勤しむ現実に立ち向かう勇気を持てず、自転車で散歩に出ようとした。
 しかし、今日は自転車の様子がどうもおかしい……。
 後輪の具合が悪いのだ。

 思ってみれば今使っている自転車は一般的な自転車としては中々値がはるものだった。
 大量生産の規格品のクセにちょっと値段が高いだけでこれだ。
 お高くとまっているやつはなんとも信用が出来ない。

 大体この自転車ときたら買った時からトラブル続きだった。
 丈夫で長持ち! 自転車を良く使うあなたにオススメ! という売り文句だったというのに、
 バルブのトラブルでたった4ヶ月で空気が入らなくなる。
 中でチューブがひねって絡まる。
 バランスが悪いのですぐに倒れる。
 私は持ち前の想像力を駆使して、この自転車は、没落して今は大量生産のママチャリとして生きている病弱な令嬢なのだ、と思い込み、このいらだちを乗り越えてきたが、今度はいったいどうしたことだ?
 機嫌をとろうとやさしい声で語りかけたり、激励してみたり、終いには大声で怒鳴ってみたのだが、自転車は何も答えない。

 当然だ。自転車はしゃべらないのだ。
 
 ばかばかしい一人芝居に飽きた私は、一つため息をこぼし、仕方なく、このご令嬢を病院へ連れて行くことにしたのだった。





 
・・・



 自宅から15分ほど歩いた場所に、個人経営の小さな自転車店がある。
 今使っている自転車を買った店とは違う店なのだが、10代の頃から、自転車にトラブルが起こった時は、この店にメンテナンスをお願いしている。店主の人柄と技術に惚れ込んでいるのがその理由だが、それ以上にすばらしいのは近くて安いそれに尽きる。

 交差点の近く、車どおりの多い道、古ぼけて塗装も剥がれ落ちた看板が見えると、通りに面した作業場からほんのりと油と煤の交じり合ったような臭いが漂う。
 
--すいません、いいですか?
 呼びかけると、往年のロバート・デニーロのいぶし銀的な魅力を湛えてはいないが、それなりに背が高く、それなりにハンサムな壮年の店主が店先からひょっこりと現れた。
「どうなさいましたか?」
--少々後輪の具合が悪いようで
「パンクですかね? ああ、コレはいけない。もうタイヤがだめになってる」
--随分と使い倒していたものですから、出世しました。おいくらほどかかりますか?
「タイヤ交換は3990円ですねぇ。時間は15分くらいで終わりますよ」
--そうですか、今は持ち合わせがないので、一時預かっていただいてもよいですか? 受け取りと支払いは後日に。
「分かりました。それじゃあ、修理してしまいましょうか」
--ありがとうございます。それではまた、近日中に支払いと受け取りに……
「いやいや、そうじゃなくてね、もう修理しちゃうから。お金は今度でいいから。修理が終わったら、すぐに持って行きなさい」
--え、本当ですか? 申し訳ない、ありがとうございます。
「いいよいいよ。日常の足がないと不便だろう。あぁ、これは、××さんで買った自転車だねえ……液体を入れてなくてよかったよ。もしそうだったらもっと大変なことになってた。さあ、座って座ってすぐに修理しちゃうから」

 私に座を勧めると店主はなれた手つきでタイヤの交換を始めた。
 じっと、その姿を見る。作業服も手も油にまみれて、染み付いて、まさしく熟練の仕事人と言った風体だ。
 始めて知り合った頃から、キッパリハッキリものを言って、どこか、皮肉っぽいのは変わらない。私は正直、最初この店主が苦手だった。
 けれど、この店主にメンテナンスを任せて、自転車が調子を崩したことは一度もなく、それどころか、ほんの少しの調整だけで、不調だった自転車がまるで新品のように蘇る。この店以上に修理において信頼できる店を他には知らない。
 
 約束どおり、自転車の修理はものの15分ほどで終わった。
 笑顔で「終わりましたよ」と、店主が私を呼ぶ。

--ありがとうございます。ツケ払いということで、一応連絡先と住所を控えたほうがよろしいですよね? メモ用紙かなにかを頂戴いただけますか?
「電話番号と名前だけで充分だよ」
--わかりました。もし、万が一、支払いが遅れるようなことがあったら、連絡をお願いします。
「それはないでしょ。明日は雨らしいし、お金はいつでもいいから」


 その後、店主にいつも世話になっていること。
 近頃自転車が好きな後輩が出来たこと。
 等、少しの世間話をして、私は修理を終えた自転車にまたがって、店を後にした。
 新しいタイヤとガタがきていた些細な部分の調整を終え、本来のスペックを発揮できていることを喜ぶかのように、ペダルは軽く、スムーズだ。



 イベント前の大事な時期のマシントラブルに、つくづく自分も災難だ、と思った朝だったが、自転車の楽しさや知識を提供することにこだわりすぎて、それに携わる人々の存在を忘れいたことを、思い出させてくれる一件であった。番外編として、記事にするには充分な内容だろう。自転車の修理に加えて、広報のネタまで提供していただき、店主にはまことに感謝、感謝である。
 
 ともあれ、無事自転車の調子はよくなったのではあるが。
 前述の通り私は有り余る金と天才的な操縦技術と自動車学校を卒業する自信といったものは持ち合わせて無い自信ならある、しがないただの貧乏大学生である、ゆえに予想外、想定外の大出費をいかにして捻出するか、悩みの種も増えてしまったことだけはいただけない。



(記事担当 部長)
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